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住宅価格

住宅価格の変動が出生率に与える影響

評価指標

効果

証拠の強さ

評価指標

出生率

効果
証拠の強さ

ポイント

  • 住宅所有率が高い地域では住宅価格の上昇が出生率の増加に寄与するが、住宅所有率が低い地域では住宅価格の上昇が出生率の減少に繋がる。

  • 住宅所有率が30%以上になると、住宅価格の上昇は出生率に正の影響を与える。

  • 住宅価格の変動は失業率の変動よりも出生率に大きな影響を与える。

文献選定/レビュー作成

  • 禰寝創太(University College London卒)

背景

  • 住宅価格の変動は出生率に対し、両方向の影響が考えられる。
  • 具体的には、子どもの人数が増加するにつれて住宅の保有が大きなコストになると考えると、住宅価格の上昇は出生率に対して負の影響を与えるが、既に住宅を保有している家計にとっては資産増加となり、出生率に対して正の影響を与えると考えられる。

介入

  • 住宅価格の変動。

評価指標

  • 出生率。
  • 出生率に関するデータ元は米国のVital Statistics Natality Files。

分析方法

  • 操作変数法。先行研究に倣い、操作変数に、住宅供給の価格弾力性と全米の住宅価格指数の交差項を使用。
  • Metropolitan Statistical Area(MSA)と呼ばれる区分で定義された地域で154カテゴリー、白人・黒人・ヒスパニックの人種で3カテゴリー、また20-29歳・30-44歳の年齢で2カテゴリーにそれぞれ分類し、分析対象をグループ分けした。

証拠の強さ

  • SMS:4
  • 操作変数法を使用することで、逆因果や、出生率と住宅価格に相関している観測できない要因の影響によるバイアスに対処している。

サンプル

  • 米国の中で上述したMSAと定義された地域のうち、分析上の条件を満たした地域(全384地域のうち154地域)。
  • データはFederal Housing Finance Agencyやセンサス、Current Population Surveyを利用。
  • データ期間: 1997年から2006年。

結果

  • 住宅所有率が高い地域では住宅価格の上昇は出生率の増加に寄与するが、住宅所有率が低い地域では住宅価格の上昇が出生率の減少に繋がる。
  • 住宅所有率が30%以上になると、住宅価格の上昇は出生率に正の影響を与える。
  • 住宅所有率を勘案せずに全ての集合で見ると、10,000ドルの住宅価格上昇は0.8%の出生率上昇に繋がる。人種別に見ると白人は0.7%増加、黒人は0.2%増加、ヒスパニックは0.2%減少となった。
  • 失業率の変動よりも、住宅価格の変動の方が影響が大きい。

研究の弱点

  • 住宅価格上昇時に住宅保有を通じて資産増加となった場合でも、追加で子どもを持つよりも既存の子どもへお金を費やす(良い教育を与える等)ケースも考えられ、その点が考慮されていない。

書誌情報

  • Dettling, L.J., & Kearney, M.S. (2014). House prices and birth rates: The impact of the real estate market on the decision to have a baby. Journal of Public Economics, 110, 82-100. http://dx.doi.org/10.1016/j.jpubeco.2013.09.009

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