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保育所の利用しやすさ

ベルギーにおける保育所普及率が出生確率に与えた影響

評価指標

効果

証拠の強さ

評価指標

出生確率

効果
証拠の強さ

ポイント

  • 保育所普及率(0〜3歳の子供の人口に対する保育所の数の割合)が高い地域では、共働き世帯の出生確率が増加した。

  • 保育所普及率が1%増加すると、第一子の出生確率が10.8%、第二子が2.8%、第三子が2.1%それぞれ増加した。

  • 保育所普及率が1%増加すると、女性一人あたりの第一子、第二子および第三子の合計出生数は3.0%増加し、10%増加すると合計出生数は4.2%増加した。

文献選定/レビュー作成

  • 島田健(ユニファ株式会社)

背景

  • 共働き世帯の増加に伴い、仕事と家庭の両立が課題となる中、保育所の拡充がこの課題を解決する手段とされてきた。
  • 保育所の拡充と出生確率の関連についての先行研究は様々な手法で分析が行われてきたが、結果については一貫性がなかった。

介入

  • 保育所普及率

評価指標

  • 出生確率(第一子、第二子、第三子の出生確率)

分析方法

  • ランダム効果および固定効果ハザードモデル

証拠の強さ

  • SMS: 3
  • 根拠
    • 未観測の地域特性を統制したランダム効果モデルおよび固定効果ハザードモデルを用いている。
    • 出生確率の高い自治体では保育所の需要が増え、その結果、保育所の供給も増加するという逆因果の可能性があるため、過去の出生確率や出生数をコントロールしたモデルを使用している。
    • 保育所が充実している自治体に子供を持ちたい共働き世帯が移住する可能性があるため、少なくとも3年間同じ自治体に居住している世帯のデータを用いたモデルを使用している。

サンプル

  • 対象は2001年の国勢調査データを基にした、ベルギーの588の自治体における共働き世帯。
  • 構成は第一子の出生に関するサンプル(157,476世帯)、第二子の出生に関するサンプル(216,331世帯)、第三子の出生に関するサンプル(321,576世帯)。
  • 2002年から2005年のNational Registerデータを利用し、2001年10月から2006年1月までの月次パネルデータをもとに分析。

結果

  • 保育所普及率が第一子の出生確率に最も強い影響を与えることが確認された(固定効果モデルの推定によると保育所普及率が1%増加すると、第一子の出生確率は10.8%増加)。
  • 保育所普及率は第二子および第三子の出生確率にもプラスの影響を与えることが確認された(固定効果モデルの推定によると保育所普及率が1%増加すると、第二子の出生確率は2.8%、 第三子は2.1%増加)。
  • 保育所普及率は合計出生数の増加にプラスの影響を与えることが確認された(保育所普及率が1%増加すると、女性一人あたりの第一子、第二子および第三子の合計出生数は3.0%増加し、10%増加すると合計出生数は4.2%増加)。これは特に低出生率が課題となっている国において保育所の拡充が低出生率対策として有効であることを示唆している。

研究の弱点

  • データ制約のため、雇用状況、保育所以外での保育状況、世帯の別居・離婚のタイミングやその頻度などが出生確率に与える影響を検証できていない。

書誌情報

  • Wood, J., & Neels, K. (2019). Local Childcare Availability and Dual-Earner Fertility: Variation in Childcare Coverage and Birth Hazards Over Place and Time. European Journal of Population, 35, 913-937. https://doi.org/10.1007/s10680-018-9510-4

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