補習とコンピュータ支援学習
成績が振るわない小学校3、4年生に対する補習と通常の小学校3、4年生に対する授業外のコンピュータ支援学習が成績に与える効果
- 評価指標
数学、言語のテストスコア
ポイント
文献選定/レビュー作成
背景
- 発展途上国において貧しい人々へ提供している教育が悲惨な状況にある。例えば、インドの農村部では、全国の学校を無作為に訪問したところ、25%の教師が欠席し、実際に教えていたのは50%に過ぎなかった。生徒や教師の広範な欠席が問題になっていないインドの都市部でさえ、学習レベルは非常に低い。
- 教育内容についていけない子どもに単純に出席を促すような政策は効果的ではない。本研究では補修とコンピュータ支援学習のふたつの実証実験の結果を示す。
介入
- 基礎学力の低い小学3,4年生の中からランダムで選ばれた生徒に、トレーニングを受けたコミュニティの若い女性が基礎技能を1日の授業時間4時間のうちの2時間指導する。(Balsakhi Program バルサキプログラム https://www.povertyactionlab.org/evaluation/balsakhi-remedial-tutoring-vadodara-and-mumbai-india)
- 4年生の子どもたちに週2時間コンピュータを使って難易度の異なる数学の問題を解くゲームをさせる。(コンピューター支援学習プログラムCAL)
- どちらのプログラムも、インドの公立学校と連携して運営されている大規模なNGO、Prathamによって提供されている.
評価指標
- 10月または11月に行われるプレテスト(数学、国語)
- 3月のプログラム後に行われるテスト(数学、国語)
分析方法
- ランダム化比較実験によってデータを収集しテスト結果を比較した。
証拠の強さ
- SMS:5
- 根拠
- 条件に合う生徒の中から完全にランダムで生徒を振り分けた上で、プレテストの結果において介入群と対照群に有意な差が見られない。
サンプル
- ムンバイの小学校3~4年生10745人
- ヴァドダーラの小学校3~4年生17061人
結果
- コミュニティの若い女性による基礎技能の指導は、介入群の学校の全児童の平均テストスコアを比較校に比べて1年目に0.14標準偏差、2年目に0.28標準偏差向上させた。
- コンピュータ支援学習は、初年度に0.35、2年目には0.47の標準偏差で数学のスコアを向上させ、すべての生徒に対して等しく効果があった。この結果は時間が経っても持続した。プログラムを終了して1年後、プログラムの対象校にいた生徒は、その差は小さくなったものの、依然としてこのプログラムを受けていない生徒より良い成績を上げている。
- バルサキプログラムの費用は子供1人あたり年間約2.25米ドルで、テストスコアの標準偏差の増加あたり約0.67米ドルの費用対効果を見積もっている。
研究の弱点
- 地震の影響によって生徒のバルサキプログラムを受けた日数にばらつきが出ている
書誌情報