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介護保険の導入、改正による労働力への影響

介護保険制度の改正の短期的利益と長期的損失

評価指標

効果

証拠の強さ

評価指標

介護保険導入時の介護者の労働供給

効果
証拠の強さ
評価指標

介護保険改正時の介護者の労働供給

効果
証拠の強さ

ポイント

  • 介護保険の導入により、介護者(特に男性)の労働供給が増加した。

  • 一方、2006年の介護保険制度改正で介護区分が低い利用者への介護給付が減少したことにより、介護者の労働供給は減少した。

文献選定/レビュー作成

  • 一橋大学 高橋雅生/株式会社サイバーエージェントAI Lab, 経済学社会実装チーム

背景

  • 経済を維持するための労働供給市場の拡大は、日本や他の高齢化が急速に進む国々にとって今後数十年の優先事項である。日本政府は2006年4月、要介護度が軽い受給者の給付を減らすことで、コストを抑制するように介護保険制度を改正した。この論文では、この改正を利用して介護保険制度の労働供給への影響を推定した。

介入

  • 介護保険が導入、改正された時の労働供給への影響の比較

評価指標

  • 国民生活基礎調査の結果

分析方法

  • 傾向スコアマッチングを用いた差の差分析

証拠の強さ

  • SMS:3
  • 根拠
    • 差の差分析を行なっている。

サンプル

  • 日本の非施設入所者を対象とした国民生活基礎調査のデータを使用。
    • 国民生活基礎調査は、家計、健康、所得・貯蓄、長期介護の4つの質問項目から構成されている。
  • 家計と健康に 関する質問は、各調査年に約30万世帯、60万~80万人の完全回答者を対象としている。
  • 家計と健康に関するアンケートは全回答者を対象としており、各調査年において約30万世帯、60万人から80万人をカバーしている。
  • 所得、貯蓄と介護に関するアンケートは全回答者の一部を補完しており、それぞれ10万人と6000人程度をカバーしている.

結果

  • 介護保険の導入により、介護者(特に男性)の労働供給が増加した。
  • 一方、2006年の介護保険制度改正で介護区分が低い利用者への介護給付が減少したことにより、介護者の労働供給は減少した。
  • 介護保険制度の労働供給への波及効果については男女差が認められ、労働供給を刺激するための政策は男女別に策定される必要がある。
    • 男性の労働供給の促進には介護リスクを軽減する政策が有効
    • 女性の労働供給の促進には介護負担をさらに軽減する政策が有効
  • 政策立案者は年齢差を考慮する必要がある。
    • 若年層は介護の提供と強度の両方に非常に敏感であり、包括的な政策が必要
    • 集中的に介護が提供される中年後期と高齢者にとっては、介護負担の軽減が必要
  • 介護保険改正は短期的には介護保険への支出を抑制する可能性があるが、長期的な観点からはこのような政策は労働力と経済に大きなダメージを与える可能性がある。

研究の弱点

  • この研究では就労していることに焦点を当てているが、労働時間や賃金に与える影響を考慮する必要がある。

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