介護保険におけるゼロ価格政策
介護保険におけるゼロ価格政策によるモラルハザードの発生
- 評価指標
月間の介護費用総額
- 評価指標
利用したサービスの種類
- 評価指標
月間のサービス利用日数
- 評価指標
サービスの種類ごとの月額費用
- 評価指標
サービス日数ごとの月額費用
ポイント
文献選定/レビュー作成
背景
- 医療におけるモラルハザードとは、保険の適用によって医療価格が低くなった場合に実質的な必要度に対してサービス利用が増加することを指す。
- 世界的な高齢化に伴って長期介護保険の市場は今後急速に拡大していくことが予想されるが、長期介護保険市場におけるモラルハザードにに関する論文は少ない。高齢化が進んでいる日本を例に長期介護保険におけるモラルハザードを検証する。
介入
評価指標
- 介護需要
- 月間の介護費用総額
- 利用したサービスの種類
- 月間のサービス利用日数
- サービスの種類ごとの月額費用
- サービス日数ごとの月額費用
分析方法
証拠の強さ
- SMS:2
- 根拠
- 介入群と非介入群の属性などの差異を考慮するためにマッチングが行われている。
サンプル
- 2006年1月から2015年12月までの毎月のLTCI請求記録と同時期の死亡記録
- マッチング前のサンプルサイズ
- 生活保護受給者 13998人
- 非受給者 1263329人
結果
- 介護費の減少は介護サービス利用を有意に増加させる。
- 介護費がゼロになった場合も介護サービスが増加する。
- 自己負担率の引き上げは、介護サービスの利用を緩やかに抑制する可能性がある。
研究の弱点
- マッチング後のサンプルに未観測の共変量が残っている。
- 時間変動要因や観測されない要因は、過大評価や過小評価をもたらす可能性がある。
- 生活保護の受給資格の重要な基準である世帯収入が観察不能であるため、操作変数法や不連続回帰デザインなどのより適した方法で推定できない。
書誌情報