反転授業
米国空軍士官学校における反転授業がもたらすテストへの効果
- 評価指標
授業後に行われる確認テスト(短期的評価)
- 評価指標
評価指標中間テスト(中期的評価)
- 評価指標
期末テスト(長期的評価)
ポイント
文献選定/レビュー作成
背景
- 反転授業*は教育方法のひとつとして関心が高まってきているが、研究は進んでいない。なぜなら、観測データから他の要因を排除して反転授業の効果を分析することは難しいためである。
- ランダム化比較試験によって他の要因をコントロールし、反転授業の効果が推定できる。
- *本論文において反転授業とは、授業時間外に学習コンテンツを提供し授業時間内に学習に関するアクティビティ(演習問題を解くこと等)を行うことを指す。
介入
- 米国陸軍士官学校における学部レベルの入門計量経済学コースの生徒を7つのクラスにランダムに分ける。
- 合計25回授業が実施され、そのうち10回を実験対象の授業とし、反転授業の実施をランダムに決定する。
- 反転授業では授業時間前にビデオ講義を受け、授業時間内に演習を行う。伝統的授業では授業時間内に講義を受け、授業時間後に演習を行う。ビデオ講義と講義は同じ内容のものが提供される。
評価指標
- 毎授業後に行われる成績評価に含まれない確認テスト(短期的評価)
- 成績評価に含まれる中間テスト(中期的的評価)
- 成績評価に含まれる期末テスト(長期的評価)
分析方法
- ランダムに割り当てられる反転授業の実施の有無を介入変数とした回帰分析
証拠の強さ
- SMS:5
- 根拠
- クラスの割り当ておよび反転授業の実施をランダムに割り当てるランダム化比較試験を行っているため。
- ランダム割り当ては乱数発生によって決められた。
サンプル
- 米国陸軍士官学校における学部レベルの入門計量経済学コースを受講する全ての学生(学部生相当)137人
結果
- 反転授業を受けた学生の中間テストの点数は、反転授業を受けていない学生と比べて標準偏差の0.164倍分、向上した。
- コースが始まる前のGPAが受講者の中央値より低い学生より、中央値以上の学生に対する効果が大きかった。中央値より低い学生の中間テストの点数は標準偏差の0.145倍分の向上に対して、中央値以上の学生は標準偏差の0.183倍分の向上があった。
- 反転授業を受けた学生の期末テストの点数は、コースが始まる前のGPAが中央値以上の学生のみ向上した。その大きさは標準偏差の0.163倍分であった。
- 毎授業後に行われる成績評価に含まれない確認テストの点数に対して、反転授業の効果は見受けられなかった。
研究の弱点
- 他の集団(異なる科目や、小中学生等)で実施した反転授業の効果はこの研究からだけでは明らかにできない(外的妥当性の制限)。
書誌情報
- Wozny, N., Balser, C., & Ives, D. (2018). Evaluating the flipped classroom: A randomized controlled trial. The Journal of Economic Education, 49(2), 115-129.
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/00220485.2018.1438860