ディーゼル車規制
日本におけるディーゼル車規制の導入が大気質、新車登録、出生体重に与える影響
- 評価指標
大気質
- 評価指標
新車登録
- 評価指標
出生体重
ポイント
ディーゼル車規制の導入は、対象地域のPM10濃度を平均で7%減少させた。
ディーゼル車規制の導入により、ディーゼルトラックとバスの新規登録が34%増加した。
ディーゼル車規制の導入は、低出生体重の発生率を減少させ、出生体重を平均6g増加させた。
文献選定/レビュー作成
背景
- 自動車は都市部の大気汚染の主な原因である。
- 欧州では1996年以来、多くの都市が低排出ガスゾーン(LEZ)を導入している。
- 日本でも2003年に首都圏でディーゼル車規制が導入され、大気質と公衆衛生への影響が注目されている。
介入
- 2003年10月、首都圏でディーゼルトラックとバスに対する規制が導入された。
評価指標
- 大気質: PM10濃度の変化を評価。
- 新車登録: ディーゼルトラックとバスの新規登録台数の変化を評価。
- 出生体重: 低出生体重児の発生率と平均出生体重の変化を評価。
分析方法
- 傾向スコアマッチングと差の差分析(DiD)を用いて、ディーゼル車規制の効果を推定。
- データは2000年から2008年までの大気汚染、車両登録、出生記録を使用。
証拠の強さ
- SMS:3
- 根拠
- 規制の対象になった首都圏の1都3県とその他の地域を使用したDiDと傾向スコアマッチングを用いている。
- イベントスタディを使用して、パラレルトレンドの仮定を確認している。
サンプル
- 対象地域: 1都3県(東京、埼玉、神奈川、千葉)
- 期間: 2000年から2008年の年別データ
- データソース: 環境数値データベース/自動車検査登録情報協会/厚生労働省(出生記録)など
結果
- ディーゼル車規制の導入により、PM10濃度が平均で7%減少。
- ディーゼルトラックとバスの新規登録が30-34%増加。
- 規制の導入により、車両の買い替えとフィルターの導入にかかるコストは約1.68兆円。
- 低出生体重児の発生率が減少し、出生体重が約6g増加。
研究の弱点
- データの制約により、長期的な影響を評価できなかった。
- 一部の結果は地域間で異なるため、さらなる研究が必要。
書誌情報
- Nishitateno, S., & Burke, P. J. (2024). Effects of Low Emission Zones on Air Quality, New Vehicle Registrations, and Birthweights: Evidence from Japan. Environmental and Resource Economics. https://doi.org/10.1007/s10640-024-00875-w