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スタジアム・アリーナ

スタジアム・アリーナでの試合開催が周辺の地域ビジネスに与える影響

評価指標

効果

証拠の強さ

評価指標

周辺(3km圏内)の飲食・宿泊施設への来客数

効果
証拠の強さ
評価指標

周辺(3km圏内)の小売店への来客数

効果
証拠の強さ
評価指標

周辺(3km圏内)のレクリエーション施設への来客数

効果
証拠の強さ
評価指標

周辺(3km圏内)のその他サービス業への来客数

効果
証拠の強さ
評価指標

周辺(3km圏内)の医療・健康サービス施設への来客数

効果
証拠の強さ
評価指標

周辺(3km圏内)の金融機関への来客数

効果
証拠の強さ
評価指標

周辺(3km圏内)の教育施設への来客数

効果
証拠の強さ

ポイント

  • スタジアム・アリーナでのプロスポーツ興行が周辺商業施設の来客数に与える波及効果を、モバイル位置情報データを用いて検証した研究である。

  • 野球・アメリカンフットボールスタジアムでは、試合開催日に3km圏内の飲食・宿泊・小売施設への訪問が有意な増加を示した。

  • 一方、バスケットボール・アイスホッケーアリーナでは、施設直近では訪問者の有意な増加が見られたものの、やや離れた地域では減少が観察され、3km圏域全体では有意な影響は認められなかった。

  • 経済波及効果は主にスタジアム・アリーナから1km圏内に集中することが示された。

文献選定/レビュー作成

  • 舟橋弘晃(中京大学)

背景

  • 米国では多額の公的補助金がスタジアム・アリーナ建設に投入されてきたが、その経済効果に懐疑的な見方が強い。
  • しかし、過去の研究の多くが郡や大都市統計地域(MSA)といった広範な地理レベルでの集計データを用いてきたため、スタジアム・アリーナが周辺事業者に与える局所的な経済波及効果が検証されていない。

介入

  • スタジアム・アリーナでの試合開催

評価指標

  • スタジアム・アリーナから3km圏内にある商業施設への日次訪問件数
  • 商業施設の業種:①飲食・宿泊、②小売、③レクリエーション、④その他サービス、⑤医療・健康サービス、⑥金融、⑦教育
  • モバイル位置情報データ提供会社のSafeGraphから取得した日次訪問データを使用
  • スタジアム・アリーナとその周辺3km圏内の商業施設をPoints of Interestとして定義し、各施設の日次訪問件数を集計

分析方法

  • 固定効果モデルおよび操作変数法

証拠の強さ

  • SMS:4
  • 根拠
    • 試合開催日を操作変数として使用することで、施設来場の内生性を排除している。
    • 複数の頑健性検証により推定結果の信頼性も確認されている。

サンプル

  • 米国の4大プロスポーツリーグ(MLB、NBA、NFL、NHL)の92施設(2018年時点)を対象に、それぞれの3km圏内にある商業施設の日次訪問データ(SafeGraph提供)を用いた。
  • スタジアム・アリーナ(92施設)×日(365日)の組み合わせによる、計33,580件の観測からなるサンプルである。

結果

  • 野球・アメリカンフットボールのスタジアムでは、来場者100件あたり、3km圏内の飲食・宿泊施設で平均29~40件、小売店で平均6~13件の追加訪問が生じると推定された。
  • 一方、バスケットボール・アイスホッケーのアリーナでは、3km圏内で有意な影響は確認されなかった。
  • 経済波及効果は主に1km圏内に集中しており、アリーナから1~2.5km圏内では(統計的に有意ではないものの)負の効果が推定された。これは、都市内の消費活動がアリーナ周辺にシフトしている可能性を示唆する。

研究の弱点

  • 同日に開催された他の大規模イベントの影響が考慮されていない。
  • スタジアム・アリーナ来場者と周辺商業施設の来場者が同一人物であることは証明されておらず、分析は集計レベルの相関に基づいている。

書誌情報

  • Abbiasov, T., & Sedov, D. (2023). Do local businesses benefit from sports facilities? The case of major league sports stadiums and arenas. Regional Science and Urban Economics, 98, 103853. https://doi.org/10.1016/j.regsciurbeco.2022.103853

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