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スタジアム・アリーナ

スタジアム整備が周辺エリアの商業不動産価値に与える影響

評価指標

効果

証拠の強さ

評価指標

1エーカーあたりの商業不動産評価額

効果
証拠の強さ

ポイント

  • MLBアトランタ・ブレーブスのスタジアム移転を事例に、スタジアムを核とする複合エリア開発が、郊外のコミュニティ改善地区(CID)における商業不動産価値に与える影響を、合成コントロール法を用いて検証した研究である。

  • スタジアム開場後、介入地域であるカンバーランドCIDの商業不動産評価額は、反実仮想と比較して有意な上昇は観察されなかったが、その背景には複数の要因が論じられている。

  • スタジアム整備を地域経済活性化策として用いる場合、交通渋滞等の負の外部性を抑制しつつ、スタジアム関連の消費が周辺の既存商業を代替するのではなく地域全体の純増につながり、非興行日を含めた日常的な人流が周辺エリアへ波及するような『持続可能な面的開発』の視点が求められる。

文献選定/レビュー作成

  • 舟橋弘晃(中京大学)

背景

  • スタジアム・アリーナ整備は、周辺地域の商業活動を活性化し、不動産価値の上昇を通じて経済的な波及効果をもたらすと説明されることが多い。
  • 先行研究では、住宅不動産価格への影響については一定の効果が示される一方、商業不動産への影響については結果が一貫していない。
  • 2017年にMLBアトランタ・ブレーブスがダウンタウンから郊外のコブ郡へ移転し、新スタジアムと商業施設を一体的に整備したことは、スタジアム整備が周辺地域の商業活動に与える影響を検証するのに適した事例である。

介入

  • スタジアムを核としたエリア開発(Truist ParkとThe Battery Atlantaの整備)

評価指標

  • スタジアム整備に伴う周辺地域の経済的価値の変化を捉えるため、CID単位の商業不動産評価額(1エーカーあたり)を用いている。
  • データは、ジョージア州の固定資産課税評価制度に基づき算定された商業不動産の課税評価額であり、2019年時点の実質価格に調整した年次データを使用している。

分析方法

  • 合成コントロール法

証拠の強さ

  • SMS:3
  • 根拠
    • スタジアムが立地するCIDに対して、重み付けした他のCIDから合成対照群を構築し、反実仮想を設定している。
    • 介入時点や共変量の選択を変更した複数の感度分析を実施し、推定結果の頑健性を検証している。

サンプル

  • 分析対象地域は、アトランタ都市圏に所在するカンバーランドCID(介入群、面積約17km²)と、同都市圏内の他11のCID(対照群)である。
  • 分析対象期間は2010年から2019年までの10年間で、2017年のスタジアム開場以降を介入後期間としている。

結果

  • スタジアム開場後、カンバーランドCIDにおける商業不動産評価額は、合成対照群と比較して有意な上昇は観察されず、2019年には合成対照群に対して約10%低い水準にとどまった。
  • 建設発表年を介入開始とする代替的な分析においても、商業不動産価値の有意な上昇は確認されなかった。
  • 商業不動産価値が上昇しなかった背景として、スタジアム来訪者の消費が当該地区における日常的な商業活動の拡大につながらなかった可能性や、交通混雑や治安悪化といった負の外部性の影響が示唆されている。

研究の弱点

  • 分析期間はスタジアム開場後の比較的短期間に限られており、COVID-19の影響もあって、商業不動産価値に対する中長期的な影響については十分に捉えられていない。
  • 分析対象はアトランタ郊外のコブ郡に限定されており、都市部と郊外で立地条件や商業環境が大きく異なることから、他地域のスタジアム整備にそのまま当てはめることはできない。

書誌情報

  • Bradbury, J. C. (2022). The impact of sports stadiums on localized commercial activity: Evidence from a business improvement district. Journal of Regional Science, 62, 194–217. https://doi.org/10.1111/jors.12560

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